「情報」だけではない、読書会の「魅力」


皆さんは「読書会」というと、どんな印象を抱きますか?

私が主催している紹介型の会であれば、参加された方が持ち寄った様々な本を知り、興味を持てそうな本と出会える場所。
もしくは、自分が心に残る本を、他の方に知ってもらえる場所。

そんな風に思われていると思います。

 

日本の臨床心理学の開祖で、日本人独自の視点で心象風景を探る達人である河合隼雄さんの著書、
『河合隼雄の幸福論』(PHP研究所) 参考リンク の中に、作家の井上ひさしさんと河合氏が歓談された際の記述がありました。

演劇の場では、職業や年齢など、異なる人生経験のある人たちが一つの劇場に集まります。そこには、劇場全体に「不思議な一体感」が生まれることがある、と井上氏は語られています。

観客は、舞台上で表現される喜びや悲しみの感情を味わうのですが、そこで生まれた「心の揺れ」が舞台で演じる俳優にも伝わり、練習の時にはできなかったような「名演技」をすることにつながるというのです。
それがまた観客の感動を呼ぶ、という形で、劇場全体に「心の共振現象」のようなことが起こる、と河合氏は記しています。

そして、河合氏はこう続けます。

※ 以下引用 ※

『情報の伝達という点から言うと、私は井上さんからどのような「情報」を受け取ったのだろう。(中略)井上さんからわれわれが受けとめたものは、知識ではなく心の揺れである。』
(『河合隼雄の幸福論』 p26 何を伝えるのか より)

※ 引用終わり ※

読書会に参加して得られるものは、本の「情報」だけでなく、紹介する人がその本から感じた「心の揺れ」もあるかと思います。

河合氏は、演劇の聴衆の方がそれぞれ異なる受け止め方をしつつも、自分なりの「心の揺れ」を体験し、『よし、やるぞ』と感じられるような、多様な結果を生み出すところが素晴らしいと述べています。

読書会にも、単なる「本の情報」だけに留まらない、この本で河合氏が述べているような、『人間が生きてゆくのに、ほんとうに大切な「やるぞ!」というような心の動き』が生まれることがあると思っています。

そんな経験が、参加された方の読書ライフに、より多い実りをもたらしてくれるといいですね。


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